骨粗鬆症とは
骨粗鬆症は骨密度が低下することで骨が脆弱化し、折れやすくなる病気です。原因が明確に特定できない原発性骨粗鬆症と、特定の病気や薬物の影響などによって引き起こされる続発性骨粗鬆症に分類されます。
原発性骨粗鬆症は、特定の病気が原因ではなく、主に加齢や閉経などの要因が関与しています。とくに女性の場合は、閉経に伴って女性ホルモンであるエストロゲンの分泌が減少することが大きな要因となります。骨は、古い骨が破骨細胞によって分解され、骨芽細胞が新しい骨を作るというサイクルを繰り返しています。エストロゲンはこの破骨細胞の活動を抑制する役割がありますが、閉経によってエストロゲンの分泌が不足すると、破骨細胞の働きが活発化し、骨密度が低下します。その結果、骨が脆弱化して折れやすくなります。このような要因から、女性の患者様数は男性の約3倍以上とされています。また性別に関係なく、加齢に伴いカルシウムが十分に吸収されなくなり、骨密度の低下するため骨粗鬆症を招くこともあります。若い世代でも、無理なダイエットなどによる栄養不足が原因で発症することがありますが、これも原発性骨粗鬆症に含まれます。日本の骨粗鬆症の患者様のほとんどが原発性骨粗鬆症です。
一方の続発性骨粗鬆症は、甲状腺機能亢進症、副甲状腺機能亢進症、クッシング症候群などの内分泌疾患、糖尿病、関節リウマチなどの特定の病気や、ステロイドの長期投与の影響、先天性疾患(骨形成不全症など)の薬剤などによって発症します。
主な症状
骨粗鬆症の進行による自覚症状はほとんどありませんが、転倒時に手をついたり、くしゃみの際にも骨折しやすくなります。さらに、体の重みに骨自体が耐えられなくなることで背中が丸くなる、脊椎圧迫骨折などが起こることもあります。
この病気では特に、背骨(脊椎)、手首、太ももの付け根あたりの大腿骨近位部、腕の付け根あたりの上腕骨近位端、肋骨、脛骨、そして骨盤が特に骨折しやすい部位とされています。
検査について
骨粗鬆症を診断するための一般的な検査は、骨密度検査です。この検査は骨の強さを判定し、骨に含まれるカルシウムなどのミネラルの量、つまり骨量を測定して診断を行います。なお骨密度とは、単位面積あたりの骨量を指します。
骨密度検査にはいくつかの方法がありますが、最も一般的なのはDXAです。この検査では、腰椎と大腿骨近位部に2種類の異なるX線を照射して測定します。その結果、若年成人の骨密度平均値(YAM値)と比較し、70%以下の数値(脆弱性骨折がない場合)が確認されると、骨粗鬆症と診断されます。
また、背骨(脊椎)の圧迫骨折を確認するためのX線撮影や、基礎疾患の有無を調べるための血液検査も行われることがあります。
治療について
骨粗鬆症と診断された場合、治療は速やかに行われます。主な治療法は薬物療法で、破骨細胞の働きを抑制する骨吸収抑制薬の使用が一般的です。代表的なものには、ビスホスホネート(内服、注射、点滴)、SERM(内服)、デノスマブ(注射)があります。また、骨形成を促進するためにデリパラチド(注射)、ロモソズマブ(注射)やカルシウム製剤(内服)も使用されます。
骨粗鬆症は骨の生活習慣病とも言われる病気で、日常生活の見直しも必要です。
特に食生活(食事療法)が重要で、ビタミンDやK、カルシウムなど骨の形成に欠かせないとされる栄養を多く含む食品を摂取することが重要です。また、カルシウムの吸収を妨げるスナック菓子、インスタント食品や、カフェインを含む飲料(コーヒーなど)の摂取を控えることも大切です。
さらに、骨を強くしていくためにも、骨に負荷をかける運動も重要です。ウォーキングやジョギングなど息がやや上がる程度の有酸素運動を取り入れることで、骨を強化する効果が期待できます。